香美町
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国内外で活躍する町出身者 第3話 問い合わせ番号:15577-2381-5610
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 国内外で活躍する町出身者 第3回は、百年の森林構想などで知られる岡山県西粟倉村で搾油や油の商品開発などを手掛ける「ablabo.」代表の蔦木由佳さんにお話をお聞きしました。
(広報ふるさと香美 令和元年5月号(第170号)より)

「一滴の油でこぼれる笑みを」


 ~田舎で得られるスキルって貴重だと思う~


 -幼少期はどのような子どもでしたか。
 蔦木 通信簿には「責任感が強い」や「しっかり者」と書かれていましたが、先生や周囲の大人には「口が悪い」とよく言われていた記憶があります(笑)。

 -地元を離れてからの仕事や暮らしについて教えてください。
 蔦木 国連難民高等弁務官を務められた緒方貞子さんに憧れて、大阪外国語大学で国際関係について学んでいました。高校時代、世界史の先生が「私たち日本人は、食べるものも勉強する
場所もあり、とても恵まれている。私たちには世界に対して何かできることがあるのではないか」と授業で言われた言葉に影響を受け、英語が得意だったので世界に貢献できることをしようと思ったんです。

 -香美町での暮らしや経験は、これまでの人生にいかされていますか。
 蔦木 今暮らしている西粟倉村は香美町より小さな村なのですが、田舎で生きていくための大切なスキルは香美町で身についたと思っています。例えばコミュニケーション能力。あいさつができるのは当然のことですが、地域の人となるべく同じ目線で会話を楽しむことや、野菜を頂いたら何か別のものでお返しすることなど、当たり前のコミュニケーションのように思いますが、都会で育った人からすると意外と難しいことのようです。それがしっかり身についたのは、香美町での暮らしのおかげです。日常の風景の中に農業があったこともありがたかったと思っていて、今うちの油の原料を作ってくださっている農家の方々とも近い感覚でお話をすることができるんです。それから、農家さんへの差し入れの大切さも香美町で学びました(笑)。


 ~油を作るきっかけは、92歳の師匠との出会い~


-油を作ることとなったきっかけを教えてください。
 蔦木 24歳のときに旅行で行った小豆島で食べたオリーブオイルがすごくおいしくて「油に関わる仕事をしたい!」と思いました。周りの人たちに油屋になりたいと言っていたら、知り合いに「90歳を超えてまだ油を搾っているおじいさんを紹介するよ」と声をかけてもらい、92歳(当時)だった師匠に出会い、「油を作りたい!」と思いました。心に残るものがあり、油のことが忘れられなくなりました。

 -現在は、どのような活動を行っていますか。
 蔦木 油の製造販売がメインです。製油工房のすぐ隣で、毎週金曜だけ地元の人向けに油の量り売りのお店を開けています。あとはネットショップで販売したり、百貨店に卸したり。「油のことをもっと知りたい」と言われることも多いので、油の勉強会や搾油体験などのワークショップも開催しています。そういったイベントは、関西・中国地方が多いですが、機会があれば全国どこへでも行っていますよ!


 ~弱音を吐く気にはならない 最後に決めるのは自分~


 -ablabo.を始めるとき、不安や心配はありませんでしたか。
 蔦木 お金もなかったし、うまくいくという保証もなかったので、人並みの心配や不安はありました。しかし、自分がやりたいことをやらないまま、なあなあと生きていくことのほうが怖かったので、それだけはしたくないと思っていました。森の学校にいたときに当時の上司に「何をやっても命を取られることはないので、思いっきりやりたいことをやればいい」という言葉をもらいました。もしablabo.の事業を失敗したとしても死ぬわけではないし、どんな形でも諦めずにやり続けていれば失敗にはなりません。お金がなくなっても、生きてさえいれば何とかなるかなと。もちろん悩みはありますし誰かに相談することもありますが、最後に決めて動くのは自分です。なので、弱音を吐く気にはなりません。


 ~好きに生きていればふるさとが好きになる~


 -今後の展望があれば教えてください。
 蔦木 ablabo.のような小さな油屋さんが全国にあればいいなと思います。油は鮮度が命なので、その土地のものを使うのがいい。油屋としてのビジネスモデルとなれるようにしていきたいです。最近では、農家さんが「自分が育てた種から搾った油を自分で売りたい」と搾油作業をうちに依頼されることが頻繁にあります。農家さんが収穫物(=種)を油という加工品にして付加価値をつけ販売することで、農家さんの手元に残るお金も増えるのです。農家さんにとっても搾油所にとっても一つのビジネスチャンスだと思うのですが、うちだけでは加工を受けられる量がどうしても限られてしまうのでいろんな地域に小さな搾油所ができたらいいなと思っています。

 -最後に地元、香美町の子どもたちにメッセージをお願いします。
 蔦木 ありきたりかもしれませんが、「好きに生きてほしい」と思います。自分が本当にやりたいことをやっていないと、うまくいかないときの怒りの矛先が故郷に向かうことがあると思うんです。「田舎者だから」とか、「不自由な暮らしだったから」とか。私もそんな風に思ったこともありました。でも、油屋として好きに生きると決めてからは香美町で生まれ育って良かったと思えるようになったんです。故郷への感謝の気持ちも湧いてきました。香美町だからこそ得られるものはたくさんあるので、それを糧に目一杯好きなことをして生きていってほしいなと思います。

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蔦木(旧姓 大林)由佳さんの略歴
1988年(昭和63年)、村岡区大野生まれ。県立八鹿高等学校を卒業後、大阪外国語大学(現大阪大学)に入学。在学中、岡山県西粟倉村の(株)西粟倉・森の学校にインターン生として関わる。同大学を卒業後、西粟倉村に移住し、森の学校へ就職。現在は、搾油、油の商品開発、販売などを手掛ける「ablabo.」の代表を務める。
 

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