香美町民バスの歩み
私たちの生活に欠かせない移動手段である「香美町民バス」は、今からおよそ18年前の平成20年(2008年)、全但バス株式会社による不採算路線の撤退を契機として、香住区および村岡区内における路線バスの運行を町が引き継ぎ、地域住民の移動手段を守るための「コミュニティバス」としての歴史をスタートさせました。
その後も、時代や地域の変化、地域住民のニーズに合わせて柔軟な再編を重ねてきました。
令和2年度には香住区内において、道路運送法第4条に基づく乗合運送から、同法第78条に基づく「事業者協力型自家用有償旅客運送」に移行したほか、佐津柴山線や長井線などでのスクール混乗の導入をはじめ、余部線、奥佐津線、小代線でのデマンド運行の開始、さらに路線バスの経路を町民バスへ組み入れるなど、限られた資源をやりくりしながら持続可能な運行の模索を続けてきました。
今なぜ変更が必要なのか
しかし現在、本町を含む但馬地域だけでなく全国的にも、人口減少や少子高齢化のスピードがさらに加速しています。それに伴い、公共交通の利用者数も年々減少の一途をたどっています。
さらに深刻な問題が「運転士(ドライバー)の不足」です。
兵庫県における第二種免許保持者数は、平成27年(2015年)の約78,000人から、令和7年(2025年)には約57,000人へと約27%も減少しています。(図1)
但馬地域においても同様の状況で、平成27年(2015年)の2,349人から、令和7年(2025年)には1,717人へと、こちらも約27%も減少しています。(図2)

(図1)兵庫県の第二種免許保持者推移

(図2)但馬地域の第二種免許保持者推移
また、町民バスの運行を委託している全但バス株式会社においても、運転士数が減少しているだけでなく60歳以上の運転士の割合が平成27年(2015年)の25.5%から令和7年(2025年)には48.4%へと急増していて、将来にわたってバスの運行を維持・確保することが極めて困難な状況にあります。
こうした危機感を背景として、町では香美町地域公共交通会議、国、県などと協議を重ねてきました。その結果、限られた輸送資源を最大限に生かし、地域の実情に合った交通再編を進めるための喫緊の対策として、まだ道路運送法第4条(乗合)のままとなっていた村岡区・小代区の4路線についても、運送形態を見直すこととしました。
そして、令和8年9月議会において「香美町有償旅客運送条例の一部を改正する条例」が可決され、村岡境線、兎塚線、射添線、小代線の4路線を新たに対象に加えることとしました。
これにより、香住区内の5路線と合わせ、町内全域の町民バスの運送形態が一つに統一され、10月1日から運行を開始しています。
安全で効率的な運行へ
今回の変更により運行の法的な枠組みは変わりますが、町民の皆さんが普段利用されるうえでの安心の「変わらない点」と、将来に向けた「新しい仕組み」があります。
1.運行内容はこれまでどおり継続
運行はこれまでと同様に全但バス株式会社に委託して継続します(香住区と同じ「事業者協力型自家用有償旅客運送」)。運行日、運行形態、運送時刻、乗降場所、運賃についても、現在の内容から変更はありません。
2.運転士(ドライバー)確保対策の下地づくり
これまで対象の4路線は「緑ナンバー(一般乗用旅客自動車運送事業)」の車両を使用し、第二種免許を持つ運転士しかハンドルを握ることができませんでした。
今回の変更により、従来の第二種免許保持者に加え、必要な認定講習を修了した「第一種免許保持者」も運転士として乗務できるようになり、これにより雇用の機会が大きく広がり、深刻な運転士不足を解消するための下地が整います。
3.安全で効率的な運行管理
バスの運行管理、車両整備、配車サービスなどはこれまで通り全但バス株式会社の専門的なノウハウを活用します。
町の単独実施ではなく、事業者と緊密に協力連携することで、安全性をしっかりと確保しながら、需要に応じた車両の活用など、効率的で持続可能な運営が可能となります。
また、今回の変更により、これまでは事業者の運送許可のもとで行っていた運送事業から、町が運送許可を受けて行うものになり、運送事業全般にわたる責任についても町がしっかりと担っていくことになります。
持続可能な運行を目指して
町では、今回の4路線の移行をゴールではなく、将来にわたる公共交通を守るための大切な第一歩と捉えています。
町民バスを取り巻く環境は厳しい状況にありますが、今後も路線網の再編や通学手段・スクール混乗など、地域の実情に応じた交通再編を検討する予定です。
また、今回の変更により、ただちに第一種免許保持者がハンドルを握るわけではありませんが、町としては、運転士不足の解消が町民バスを守るために必要であるとの認識から、今後も全但バス株式会社とともに運転士の確保対策に努めていく予定です。こどもや高齢者をはじめ、多くの町民の皆さんが、これからも安心して暮らせる移動手段を確保し、未来へと引き継いでいくために。
最後に「地域の移動手段は地域で守る」必要があることを皆さんにご理解いただくとともに、これからもご協力をお願いします。
この記事に関するお問い合わせ先
企画課
電話番号:0796-36-1962
お問い合わせ
- みなさまのご意見をお聞かせください
-
閲覧支援を閉じる
行政放送